伊豆・平津港に帰郷した二人の男、大室と船越は、大陸での兵役を終え、帰国の船の中で親しくなったが、二人は反目しあう渡世人一家のそれぞれの代貸だった。平津の中西一家と湯の沢の石黒一家は滝ヶ瀬温泉の利権をめぐって敵対していた。中西は県の有力者や軍の将校を抱き込んで、石黒が滝ヶ瀬から湯不足に悩む湯の沢温泉に湯をひこうとしているのを妨害する。双方に流血騒ぎが起きていた。
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