夜明けの夫婦
コロナ禍もようやく一応の終焉を迎え、町行く人々の口元にもマスクが目立たなくなってきた。さら(33)は夫、康介(31)の家で康介の両親と一緒に暮らしている。さら夫婦にはまだ子供はいない。ある日、義理の母が「そろそろ子供は?作らないの?」と遠慮がちに聞いてきた。遠慮がちに聞かれたのはもうこれで何度目であろう。しかし、パンデミックの間、さらと康介は、今までよりもはるかに長くこの家に居たのに、すっかりセック...
View Articlesilence in TOKYO sightseeing during COVID-19 in 2020
2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大を受けての緊急事態宣言が発令。人が消えた首都圏の街並みを映像作家・モリカツヒコは毎晩撮り続けた。この2度と見られない景色、時代の記録を収めたショートフィルムが「silence in TOKYO」。H ZETT Mはこの作品の音楽と演奏パフォーマンスで参加し、アントニン・ドヴォルザークの楽曲「遠き山に日は落ちて」のフレーズを引用したオリジナル曲「Silence...
View Article淀川アジール さどヤンの生活と意見
2021年、自殺者の報道は小・中学生にまでおよび、仕事を失った後もセーフティーネットに辿り着けなかったり、世間体を気にして生活保護を拒否する人、餓死する人が見つかるなど、テレビや新聞では暗いニュースが溢れています。今や子どもまで世間や周りの人々に合わせすぎて生きづらくなっているそんな時代。世間から見ればただのホームレス。アルミ缶集めや清掃の仕事に行き、必要なものは自分で作り、余計なものは持たず200...
View Article未来世紀ニシナリ
大阪市西成区、ここに3年前佐々木敏明さんは、暮らし応援室を立ち上げた。いわゆるホームレスやニートの人たちの暮らし全般の相談に乗っている。単に就労を支援するだけではなく、日々の宿、生活スタイル、健康まで丸ごとの取り組みが必要だ、と考えてきた佐々木さんは、ひと月ほど前から下宿屋を始めた。簡易宿泊施設であるドヤからの脱出を図る試みだ。今日は、ドヤから下宿屋に引っ越すIさんの引越し当日。二人は、身の回りの僅...
View Article東京自転車節
2020年3月。山梨県で代行運転の仕事が遂になくなってしまった。コロナ禍で働き口がない中で、注目されてきたの自転車配達員の仕事。いつでも気軽に始められる自転車配達員に飛びついた青柳監督は、家族が止めるのも聞かずに新型コロナウイルス感染者数が増えていた東京に向かう。緊急事態宣言下に入っていた東京で、青柳監督は自転車配達員として働きながら、自らと東京の今を撮影し始めた。働くということとは?“あたらしい日...
View Articleタゴール・ソングス
非西欧圏で初めてノーベル文学賞を受賞したラビンドラナート・タゴール。イギリス植民地時代のインドを生きたこの大詩人は、詩だけでなく歌も作っており、その数は二千曲以上にものぼります。「タゴール・ソング」と総称されるその歌々はベンガルの自然、祈り、愛、喜び、悲しみなどを主題とし、ベンガル人の生活を彩りました。そしてタゴール・ソングは100年以上の時を超えた今もなお、ベンガルの人々に深く愛されています。なぜ...
View Article泣いて笑って豚ほるもん ~LEGEND OF HORUMON IN GUNMA~
グルメ雑誌「月刊食べるん」編集部の創刊号完成打ち上げの席で、ホルモンは「牛」か「豚」か、論争が巻き起こり、険悪なムードに。新人記者、美濃遥海(みのうはるみ)は、編集長の一声で、その発祥を調べることになった。遥海は、大好きな豚ホルモンの記事を書ける、と意気込むも、季節はずれの落雷に見舞われた。気が付くと、そこは見慣れぬ町並みの随分とレトロなラーメン屋。お金もスマホも使えず、遥海は困惑していた。そこへ助...
View Article小嶋貴之監督短編作品集
「パラダイスとエンド」離婚することが受け入れ難い男のところに女子高生がやってきて誘拐してくれと頼まれてしまう。「正義の人たち」好意を寄せている同僚女性の腕の包帯を見て、その彼氏のDVが原因だと思った男は冷徹非情な姉と共に、カップルが同棲している家に乗り込む。「シガレット」同級生ジョウの葬式に集まった五人の帰り道。ジョウの彼女だったり、彼女に好意を寄せる親友だったり、それぞれの想いが交錯する。「からま...
View Articleウンタマギルー
日本返還直前の沖縄で、製糖工場に勤める男、ギルー(小林薫)は、西原親方(平良進)の養女マレー(青山知可子)を誘い出し関係を持つが、そのことが親方に知られてしまう。また、マレーが豚の化身であることを知ってしまったギルーは親方の怒りを買い、妹のチルー(戸川純)の助言で運玉森に身を隠す。ギルーは森の妖怪キジムナー(宮里榮弘)から特殊な手術を受け、超能力を授かり、義賊・ウンタマギルーとなって米軍倉庫や悪徳動...
View Articleぜんぶ、ボクのせい
児童養護施設で暮らす13歳の中学生、優太は、施設でも学校でもいじめられ、いつも一人ぼっち。自分を理解してくれる大人もいない。母・梨花が迎えに来てくれることだけを心の支えに毎日を過ごしているが、一向に現れず不安を募らせていく。そんなある日、偶然母の居場所を知った優太は、会いたい一心で施設を抜け出し、地方に住む母のアパートを訪ね、ようやく再会するのだが…。
View Article凪の島
両親が離婚し、母の故郷である山口県の瀬戸内にある小さな島で暮らすことになった小学4年生の凪(新津ちせ)。母・真央と、祖母・佳子と一緒に、佳子が医師をしている島唯一の診療所で暮らしている。普段は明るく振る舞う凪だが、母へ暴力を振るうアルコール依存症の父・島尾の姿が目に焼き付き、心に傷を負い、時々過呼吸になって倒れてしまう。そんな凪を、事情をすべて知った上で何も言わず温かく受け入れてくれる島の住民たち。...
View Article夜明けまえの彼女たち 劇場公開版
舞台は、新潟のとある定食屋「川しげ」。病気の母を気遣い、娘の美絵(本間日陽)が1人で切り盛りするこの店は、地元の人たちが足繁く通うどこにでもあるような定食屋だ。近所で金物屋を営む常連客の日野(板尾創路)は、仕事が暇になるとふらっとこの店に訪れては、そこにやってくるお客たちを人間観察している。そんな定食屋「川しげ」に訪れた4人の女の子たち。一生懸命生きているけどなぜだか空回りしてうまくいかない。そんな...
View Article恋の渦
部屋コンに集まった男女9人。イケてないオサムに、彼女を紹介するのが今夜の隠れテーマだ。しかし、やってきたユウコのルックスに男は全員ドン引き。それでも無理矢理盛り上げようとするが、すべてが空回りし、微妙な空気のままコンパは終わったはずだったが…。その夜を境に、男女9人の交錯する恋心、下心、本音と嘘が渦巻き、ゲスでエロくておかしな恋愛模様が繰り広げられていくのだった
View Articleライブテープ
ミュージシャンの前野健太が2009年元旦に吉祥寺で敢行したゲリラライブの模様を記録した音楽ドキュメンタリー。初詣で賑わう武蔵野八幡宮で突如としてギターを描きならし始め、歌いながら吉祥寺の町を縦断、最終目的地である井の頭公園のステージでバンドメンバーと合流して演奏するまでの74分間をワンカットで収録した異色作。巨大なステージと化した吉祥寺で、時に繊細に、時に雄々しく紡がれた16の曲が街の音に溶け合う。
View Articleボプラの秋
看護師の千秋(村川絵梨)は東京の病院勤務。彼女は仕事にも疲れ、恋にも破れ人生の曲がり角に立っていた。そんな時、疎遠になっていた母つかさ(大塚寧々)からの電話。それは幼い時に暮らした「ポプラ荘」の大家のおばあさん(中村玉緒)の死の報せだった。自暴自棄になっていた千秋は、何か救いを求めるかのように「ポプラ荘」のある飛騨高山へと向かう。そして、あの「ポプラ荘」で過ごした日々の記憶が蘇ってくる・・・。幼い千...
View Articleの方へ、流れる
会社を辞め、姉の雑貨店で店番をする主人公・里美。そこに現れた、恋人を待つ男・智徳。店を出て東京の街を歩きながら語り合うふたり。「お互いのことを知らないから言えることもある」―――やがて彼らは互いに話していることが事実なのか分からないまま、惹かれあっていくのだが……。
View ArticleMONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
月曜日の朝。バンッ!!鳩が窓にぶつかる大きな音で、会社に泊まり込んでいた社員全員が目を覚ました。とある小さな広告代理店で働く主人公・吉川朱海(円井わん)は、「この仕事が終わったら、憧れの人がいる大手広告代理店へ転職する」と燃え上がる野心を持って仕事に取り組んでいた。しかし、次から次に降ってくる仕事で、余裕はゼロ。社員同士の穏やかな会話もなし。プライベートは後回し。月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜...
View Articleオカムロさん
「オカムロさんって知ってる?」「古代の妖怪だけど検索したら来るんだって」キャンプ場でそんな会話をしていた大学生5人が首を狩られて惨殺された“キャンプ場集団首狩り殺人事件”。唯一生き残ったすずはトラウマに苦しみ、復讐を誓う。やがてオカムロの恐怖は全国に広がり、犠牲者は増えていく。「ノックを無視すれば助かる」「名前を3回唱えると消える」など様々な情報が錯綜し、前代未聞の緊急事態宣言発令にまで発展、日本中...
View Articleシュシュシュの娘
福谷市のはずれで暮らす25歳の鴉丸未宇は、朝の日課のダンスと、ちくわをつめた昼の弁当が大好物。ひとり身で祖父の吾郎の介護をしている。市役所に勤めているが孤立している彼女にただひとり寄り添ってくれるのは、同じ役所に勤める先輩の間野幸次だけだった。そんなある日、間野が理不尽な文書改ざんを命じられた末に、市役所の屋上から自殺した。悲嘆に暮れて帰宅した未宇に、吾郎は「仇をとるため、改ざん指示のデータを奪え」...
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