「2、30センチの小さな布ですよ。あれどこだったのかなぁ…」正倉院かどこかの博物館で見かけた小さな布との出会い。それは、「木版染め」といって、あまりの手間から皆が手放した「最古の型染め技法」でした。以来、その魅力にとりつかれた職人は、数十年の中で技術を確立させ、今日もまた無地の反物を前に、一押し一押し版木で地道に染め重ねていきます。それはまるで、それまでの人生を映し出すかの様な作業。そしていつしか無数の桜の花びらをまとった反物は、一気に着物へと仕立てられていくのでした。
↧